教主より能登半島地震に付いて

 

我既に本尊と成って功徳荘厳具足円満し、

眷属の聖衆(しょじゅ)周匝囲繞(しゅうそういにょう)して

曼荼羅に座す。

巳成の尊も是くの如く曼荼羅に座して我と相対し給えり

本尊我が身に入(い)って加持護念し利益を施し

我本尊の身中に入(い)って恭敬供養して其の功徳を証得(しょうどく)して

本尊と一体無二也り。

 

斯くの如く

入我我入(にゅうががにゅう)の本性とはつまりは

まざまざと云えど不可得なる

加持たる姿に他ならない。

 

加持とは

加するものと持するものが居て果たしてなりうると説く者があるが

実はそうでは無い。

この二者、時に応じて両者加となり、また持者となるを

その所証の理、

即ち

寂滅なる虚空界に遍満在する

諸神諸仏のおわします曼荼羅世界の教え、真理と思召せ。

 

斯くして

この加持たる通念の世界にはさまざま是在り。

 

衆生と衆生 物と物 衆生と物 神仏と神仏 

そして神仏と衆生。

 

このような在り方から見れば、どうであろうか、

果たして、

つまりはこの三千大世界の、その悉くの存在は

導き導かれ、支え支え合い

普く加持通念している事に気付かされる。

 

畢竟

加持とはその通念なる理を以て照らさば

苦を抜き楽を与えんという

大いなる慈愛、要するに

『大愛』の能動、受動たる姿に他ならぬのだ。

 

人はこの真理に常に目を遣り三千大世界悉くを網羅せしむる

この加持なる大愛の通念に、修行取り組まねばならない。

それこそが

この六界に有情の者と生まれ出でた

我々人間を始め、全ての衆生の本義なのであって

 

まして大愛たる思想を歩みたる聖天教信徒ならば

尚の事と存じて余りなし。

 

而して

皆も既に大変な祈りと心配を寄せてくれているが

元旦。未曾有の大地震が能登半島を襲った。

 

このような巨大な地震は

東日本大震災以来であろう。

規模は熊本を超えている。

 

十日経った今でも瓦礫の下に取り残された方が未だ多数。

 

加えて

この冬季である。

その寒かろうは想像を絶するものであろうに

またもっての暴風積雪大雨が

被災地を苛んでならない。

 

 

聖天教信徒よ。

 

この未曾有の大天災に際し

私達は是非にも被災し苦しんでいる方々の為に

今こそ

我ら加持護念を凝らし

大愛の通念を見事に成し遂げなければならない。

 

一人でも多くの人間を、我らの祈りで救済実現しなければ

ならぬ。

 

他を祈りてこそ成る

大愛を実践しようとするならば

この事象に置いて他無には無い。

 

故に

どうか我が天災平癒救済の祈りに

今こそ、その祈りを

この私と、そして愛染大聖天の祈りに

加持通念

是非にも心を寄せて欲しいと思う。

 

この十日間

私は、もう殆ど寝ていない。

正確に言うと一度たりとも床に臥してはおらなんだ。

 

食事も最後にとったのは二日前か

それとも三日か、

 

去りながら

信徒の皆よ。

 

この度私は、如何に身を滅ぼし

例え死線を彷徨う祈祷に身を置こうとも

祈り闘う事を全うせんと覚悟している。

 

何故なら、

この、この度の未曾有の大天災に際し

それこそが

進みて我が身を滅し

衆生のあらゆる苦を抜き楽を与えんとする

一切布施、つまり一切救済の

法身の実現を為さしめる事を矜持とする

一己の聖天行者としての

その生き様を体現せるに余り無い

私に課された神よりの修法修行の決死の舞台だと

私は強く存念しているからに他ならないからである。

 

八方(ぽう)の葉(よう)の上に咲き誇る

如来をば

自心九重の満月輪へと誘い

決死と誦う我が修せしその秘法。

 

斯くしてその決死なる我の祈りの先に

在るものは、

其処にはこの私に日夜

全くなる布施行つまり全くなる救済行を

説かれてならない

苦を抜き楽を与えんと欲す

我と同じ思いを持たれる

愛染聖天様が鎮座して居られ事は必定にて

 

そして

見事な迄の身口意三密の感応を遂げた

私達と云えば

 

苦しみ彷徨う

未だ

瓦礫に埋もれなさる方々

 

その心こそを探さなければなるまい。

 

私は行者として

その方々の魂と

是非とも出会わなければならぬのだ。

 

救わなければならぬのだ。

導き護らなければならぬのだ。

 

そして

私に心寄せてくれる

信徒の皆の心魂にも

果たして行き着かんと

いざ思うは、

 

それこそ

血縁結びし我が縁者への

我の深き情念。

枯れる事の無き大愛の為せる業にして

 

まさに法縁親と子の完結が其処にはある。

 

畢竟

その邂逅にこそ

功徳成就の秘訣があると存ぜよ。

 

最後にいま一度

この未曾有の天災に際し皆に説き申さん。

 

いつにも増した

覚悟ある祈りをどうか私に寄せて欲しい。

 

 

 

 

 

聖天教 兆象大宰

 

追伸

 

以上の如き次第で、本部の方では

上手く対応等が

この度の祈祷が一段落するまでは

出来かねると思う。

信徒の皆もそこは良く理解してくれるように

私からお願いしたい。

 

千宰をはじめ、皆よく私を支えてくれている。

この度は本当に心から感謝したい。

そう思っている。